2016年08月30日

ストローベイルハウス

聞きなれない名前だろう「ストローベイルハウス」。


それは「藁」で出来た家のことだ。三匹の子豚に出てくる
「まるっきり藁でできた家」って程ではないのだが。
本物の藁をブロック状にしたものを壁に詰めていくことで
家の殆どを作ってしまうという方法だ。

なぜ「藁」かと言えば、それは「簡単に手に入る」ってことが
最大の理由で使われ始めたのだ。そうだ「農家」の家
ならではの発想な訳だ。穀類の農作地では簡単に、しかも
大量に材木が手に入らない。

特段、強度や住み心地について配慮して採用した建材では
無いってとこが面白い。「安い」ってのが良いではないか?!
後々簡単に、しかも安価に建材が手に入るようになると、
このストローベイルハウスは一気に廃れてゆく。そりゃそうだ。
藁を使って家を作るってのは「木」を使って家を作ることと似ている。
つまり「簡単」に施工が出来ないところだ。

それでも木は機械の御蔭で簡単に施工できるようになった。
だが、藁は、そうはいかない。ベイルにするまでだけでも
結構な「手間」が掛かる。そして日本では「湿度」という問題も
藁の家を作るには大きな壁になる。
藁の家は「素人」でも簡単に施工に参加できるというメリットがある。
専門的な知識も大して必要ない。そして高価な加工機械も
必要ない。労働に対価を求めなければ、一気にコストダウン
できる可能性も持っている。

だが。この忙しい現代で「自力施工」を出来る「ゆとり」を持っている
社会人は極々少数派だ。
余程の「意識」が無ければ、藁の家を自分で建てる事は現実的には
不可能だ。だが、私は結構頻繁に思うのだ。
生活するために必要最低限の住まいを自分の手で作るくらいの
「スローライフ」こそが、人類の未来を支えてくれるような気がすると。

ゆっくり生きるなんてのは人類「最大の」贅沢なのかもしれない。

ストローベイルハウス


建築家 本多 信章さんの家づくりプロフィール

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Posted by アーバンギア at 20:19│Comments(0)建築
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