2015年01月11日

内閣総理大臣賞

娘が描いた絵が賞をもらいました。
日本中の小中学生が一生懸命、また適当に描いた絵が
78000点以上集まりました。

その中の第一位に選ばれたのですが。
娘の作品は技術的には大変に「稚拙」です。
しかし絵画というのは技術ばかりで表現したり、
また、その技巧だけで優劣を評価したりする
ものではありません。そこがスポーツと違って、
面白いところなのです。

努力は必ずしも報われません。
この点においては、スポーツと同じです。

長女の和声は、とても素直で従順です。
兄弟の中で1、2を争うほど「絵がヘタクソ」な子でした。
長男と次男、三女は私の目から見て本物の「天才」だと
感じています。彼等に絵の描き方を教えた事は、本当に
微々たるものだけです。技術を教わる必要は全く
必要ありませんでした。それが天才たる所以です。

しかし長女は、お世辞にも絵が上手いとは言えず。
そこで手取り足取り「徹底的に」絵を教えました。
二人三脚です。
絵画とは?
絵画を描く事とは?
絵画の価値とは?
芸術の存在意義とは?
鑑賞するものの心。
所有する意味。などなど徹底的に教えました。
ですから娘の描く絵は「私の絵」だと言っても良いものです。
しかし、そろそろ個性を伸ばす時期になったのかもしれません。

それを一番感じたのは今回の受賞です。
娘は少しも嬉しそうではないのです。

夏休みに「テーマ」を決めるところから、何度も何度も
駄目出しをされて。娘は私の仕事部屋にやってきて、
なんとか自分で考えたコンセプトを伝えようとします。
しかし、内容が浅はかだったり、色彩に乏しい、つまり
作品にしたときに「輝かない」コンセプトは一刀両断です。
娘は、引きつった笑顔と真っ赤な顔で少し涙目になります。
私は少しも手を緩めません。

気に入ったコンセプトを持ってくるまで描かせないのです。
やっと決まってもデッサンが悪いと、いつまででも
描き直しをさせます。
子どもたち全員に言っているのですが、下書きを終わった
所で「色を塗る」と言うと、綺麗に支度した水彩の道具を
全部片付けさせます。
「色を塗る」

これを言っているうちは、絵など満足に描けるはずはありません。
子供に多い絵の具を使うと「塗り絵」の様になってしまうケース。
そうです。塗っているから塗り絵です。
下書きという表現も、あまり好ましくありません。
ですが、鉛筆画では、ありませんから、後々彩色する過程で、
過度に描き込まれた下書きは邪魔になることになります。

最終的に仕上げる絵の具に「合わせた」下書きが必要ですから、
やはり下書きは下書きと称して良いとは思います。
子供に対してだけ、下書きという表現を注意して使う事が
肝要です。
水彩絵の具は「やり直しが利かない」絵の具です。
一度、紙に描いてしまったら、中々その後から重ねて色を
乗せる事が困難です。
実に緊張します。娘も手が震えています。

アマチュアが絵を描くときにはモデルを描くよりも「写真」を
頼りにすることが多いと思います。
娘にも「色」を「思い込まない」ように注意することを
しつこく注意します。画用紙の横には必ずテスト用の紙を置く。
自分が見た色、若しくは感じた色になるまで画用紙には
絵の具で描かせません。
ウォッシュのテクニックも教えているので、ティッシュも
1箱くらいは使ってしまいます。

たとえ水彩画だとしても1週間から2週間の期間を掛けて
絵を描かせます。子供の集中力など、たかが知れているからです。
折角、上手くいった下書きにべた塗りの水彩画では、元も子もありません。
また水彩ですから、乾くのを待たなければなりません。

このように相当に厳しく指導されて描いた作品です。
私と娘からすれば「残念な」「まぁこんなものか」な作品なのです。
それでも出来上がった作品は「思ったとおりのコンセプト」
表現しています。それが絵画だからです。
娘の描いた絵は「稲刈り」の一こまです。

秋とは言え、稲刈りの時期は、まだまだ暑くて、完全な手作業の
稲刈りの大変さは、やった事のあるものにしか理解できないでしょう。
娘は、細い体でよく頑張りました。
全ての稲を刈り終わって、あぜに腰を下ろす。
娘の作品のモデルは「家内」でした。私が、スマホで撮った写真を
自分の体つきと顔に変えて作品に仕上げました。

若干曇り空だったのですが、秋晴れと残暑を表現した背景に
上手に変えてあります。大したものです。

絵は沢山描くうちに技術は向上します。
ただ絶対に洗練させてしまってはいけない重要なことがあります。
それは「描くまでを楽しむ」作業です。
描くまでの思考。描いている自分を想像する。

娘は、相変わらず絵が、ヘタクソです。
しかし日本一「絵を描くことに真直ぐだった」子供だったという事です。

これからが楽しみです。

内閣総理大臣賞

※このコンクールには作文部門もあります。大変に秀逸な作品が多く、
当日掲示されていた作品のひとつを読んで、うかつにも泣いて
しまいました。家内も泣いていました。遠くから見ていると
風采の上がらない(ごめんなさい)サラリーマン風のお父さんも、
ポケットからハンカチを出して涙をぬぐっていました。
是非ご拝読いただけますよう。

作品名は「祖父のお米はわが家のパワー」真崎杏奈・茨城県桜川市立雨引小学校6年



http://www.jacom.or.jp/news/2014/12/news141209-26011.php


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Posted by アーバンギア at 20:18│Comments(4)子育て
この記事へのコメント
こんばんは(^^)/

和声さんの絵画、内閣総理大臣賞受賞おめでとうございます!
お父様の指導、描くこととはどういうことか、どういう姿勢で自分の描く絵と対峙しなければならないか、二人三脚のの結晶だと思います!

これからがとても楽しみですね。。。

お父様の才能も素晴らしいものですが、お子様たちに受け継がれた遺伝子、この才能をどんどん伸ばして行ってほしいです。

そして、何事にもこの自信を遺憾なく発揮して欲しいと思います!

改めて、おめでとうございます!
Posted by simosimo at 2015年01月11日 21:13
・・・そうだったんですね。
だからこそ他の絵にはない気迫を感じます。
Posted by 月埜よもぎ月埜よもぎ at 2015年01月11日 22:09
 娘さんの内閣総理大臣賞おめでとうございます。
 
 でも、勝手言ってすみませんが、どうしてこのようなブログを載せてしまったのでしょうか? 私は、この文章を読んで胸が苦しくなりました。

多分、審査員が評価したのは、絵の技術だけでなく、その絵に表現されている娘さんなりの米作りに対する思いを深く感じたからではないでしょうか。

 素晴らしい絵の裏に、このような裏話があることを公表してほしくなかったです。絵についてそれなりの思いがあるアーバンギアさんのご指導は解らないではありませんが、まだ。幼いf娘さんの素直な思いを自由に表現できるような助言をしてほしかったです。

 娘の描く絵は「私の絵」  娘は少しも嬉しそうではない

 このような素晴らしい賞をもらったのに、そんなことを言ってしまうお父さんに疑問を感じてしまうのは私だけでしょうか・・・・ このような言葉を、娘さんの絵を実際に見て感動した人に聞いてほしくないです。

 娘さんには、お父さんの顔色を気にせずに、楽しく表現活動をしていってほしいです。受賞を知ったとき大喜びをしてほしかったです。

 でも・・・・・  アーバンギアさんのお宅には、素晴らしい家族の絆があるんでしょうね。 そして、本当に素直な素晴らしい娘さんだろうと思いました。

勝手なことを言ってすみません。

 

 

 
Posted by ayu at 2015年01月11日 22:45
アーバンギアさん、こんばんは
久しぶりにコメントします。

お嬢さんの描いた絵拝見いたしました。
一言で言うととても気持ちの良い絵ですね、収穫の喜びに満ちた表情が素直に伝わってきます。
この絵を描くに至った経緯とかアーバンギアさんの思い、あるいはテクニック等々はさておき表現力に圧倒されました。
いろいろな感想、感じ方があると思いますが私はこんな後味の良い絵を拝見させていただきとても幸せな気持ちになりました。
内閣総理大臣賞を受賞したこともすごいことで当然といえば当然でしょうがすばらしい表現力を秘めているお嬢さんだと感じました。
Posted by GAUDIGAUDI at 2015年01月13日 18:44
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